精神科産業医協会 第7回会員研修会 発表資料(2018.5.27)

講演:大学病院におけるリワーク(復職支援)デイケアの取り組みから
東邦大学医療センター(佐倉)におけるリワーク・デイケアとメンタルヘルス研究等の概要    講師 小山 文彦 先生(東邦大学医療センター佐倉病院 産業精神保健・職場復帰支援センター)

ワークショップ:休業後に安定就労を達成した事例をふりかえる
休業後に安定就労を達成した事例をふりかえる  講師 澤山 恵波先生(北里大学健康管理センター)

ワークショップ:休業後に安定就労を達成した事例をふりかえる
リワークプログラムによる復職成功事例 講師 福田 真也先生(あつぎ心療クリニック)

2015年産業衛生学会シンポジウム発表資料(渡辺洋一郎) 「精神科専門医の立場からの メンタルヘルス不調者の変遷と 職域内外の連携について」

第88回産業衛生学会 2015年5月16日

メインシンポジウムC
「職域におけるメンタルヘルスの潮流と未来展望」

「精神科専門医の立場からのメンタルヘルス不調者の変遷と職域内外の連携について」 渡辺 洋一郎

ストレスチェック制度に関する確認留意点、追加

●面接指導の対象となる労働者の要件が  「検査の結果ストレスの程度が高い者」で「検査を行った実施者が面接指導の実施が必要と認めた場合」  とされています。

この後半部分の解釈ですが、実施者(産業医、医師とは限りません、保健師、研修をうけた看護師、PSWも含まれます)が、面接指導の前に、高リスク者を選別することが可能とも読み取れます。場合によっては、診断的な意味合いも含まれてしまう可能性もあります。

この点につき、厚労省の担当者に確認しました。

このようにした意図は、恣意的に非常に高得点になるように記載した労働者を除外するような場合を想定したものであるとのことで、診断的な意味合いのある選別ではないということです。

しかしながら、高ストレス者の選定方法として、本文の中に、「評価点のみで選定する方法のほか、補足的に実施者または実施者の指名及び指示のもとにその他の医師、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士または産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が労働者に面談を行い、その結果を参考として選定する方法も考えられる。」  という文章があります。

この表現もあいまいで、医師による面接指導の前に、心理職などによる面談で、結果的に病的かどうかなど診断的意味合いのある選別が行われることもありうると思います。

厚労省としては、「ここでいう面談は、あくまで補足的なもので、面接指導の対象となるかどうかの判断はあくまで「実施者」(心理職は含まれません)が行い、事前の面談は実施者が判断する参考である」ということです。

 

●ストレスチェックの実施方法として以下の記載があります。   「医師による面接指導が必要とされた者に対して、実施者が申し出の勧奨を行うとともに、結果の通知を受けた労働者が相談しやすい環境を作るため、保健師、看護師または心理職が相談対応を行う体制を整備することが望ましい。」

ここで、「心理職」という言葉が出てくるのですが、心理職のできることは何か、ということがあいまいです。  この点につきましても確認しました。

結局、申し出の勧奨ができるのはあくまで実施者のみですから心理職は不可ということです。

「相談対応を行う体制を整備する」というのは、医師による面接指導とは別の話です。「結果の通知を受けた労働者・・」というのは、ストレスチェックの結果の高リスク者に限らず、「ストレスチェックを受けた全労働者を対象として、相談を希望するものがあれば相談できる体制を整えなさい」ということだそうです。したがって、心理職が面接指導の勧奨ができるということではないということです。

 

ストレスチェック制度実施に向けて今後の予定

3月24日、労働政策審議会安全衛生分科会において、省令案要綱について妥当である旨の答申がでました(先の省令案です)。

この答申を受け、行政の方で手続きを進め、4月下旬に省令を公布する予定で、同時に指針も公示の予定とのことです。

◆今後の予定

・4月下旬   省令の公布、指針の公示(予定)

・5月下旬~  産業保健総合支援センターにおける医師、保健師等向け研修会の実施

・6月頃    ストレスチェックの分析・集計プログラム(暫定版)の公開(ポータルサイト「こころの耳」にて)

◆ストレスチェックの分析・集計プログラム(暫定版)がどの程度のプログラムになるか不明ですが、一応厚労省の出すマニュアルにそった範囲での運用は可能なものになる予定とののこと。