設立趣旨と活動方針

■設立趣旨

企業における長期休職者の約7割がメンタルヘルス不調者であり、また職場で強いストレスを感じている労働者も6割に及ぶと報告されている。さらに、精神疾患の労災認定の請求件数、認定件数とも非常な増加を示している。

このような状況もあり、国は労働安全衛生法を改正しストレスチェック制度を義務化した。平成27年12月からは従業員が50人を超えるすべての事業所においてストレスチェック制度が義務化される。この制度は、労働者のメンタルヘルスの予防と職場環境改善、ひいては企業の業績向上までつながる世界に類をみない法制度である。しかしながら、この制度の有効な活用のためには職場のメンタルヘルスに関する専門的な見識とスキルが必要とされる。企業からは、「メンタルヘルスを担当してもらえる精神科医を探そうと思うがどこへ声をかけていいか分からない」という声もよく聞かれる。

職場のメンタルヘルスにおいて精神科医に求められる役割は、労働者のメンタルヘルスに積極的に関わり、労働者一人一人が職場で良い適応を果たすよう支援すると同時に、人事、管理職、産業保健スタッフ等それぞれの立場の人たちに必要な支援を提供し、企業の職場環境の改善、結果として業績向上につながるような支援を果たすことと考える。これは精神科医としての専門性に加え、企業の産業医としての機能を果たすことである。

この分野にはこれまで精神科医があまり関与していない。

しかし、今般、ストレスチェック制度の義務化を機に、企業では職場のメンタルヘルスへの関心が高まり、産業医として機能できる精神科医が求められているのである。

職場において産業医としての機能を果たす精神科医を「精神科産業医」として位置づけ、その概念を確立し社会に示すと同時に、労働者、企業、社会に役立つ存在として成長させることが重要であると考え、平成26年12月1日これまでこの分野で活動してきた精神科医が結集し「一般社団法人日本精神科産業医協会」を設立した。

 

 

■活動方針

・精神科産業医としての技量と経験をそなえた精神科医を認定会員として認定し、そのリストを企業、社会に公表する。

・精神科産業医のニーズがある企業においては、賛助会員として入会していただき、下記のサービスを提供する。

①協会として精神科産業医の紹介など企業のメンタルヘルス体制作りを支援する。

②全国的な精神科産業医の体制つくりを希望する企業においては、協会として各地域における精神科産業医の紹介など企業の全国的なメンタルヘルス体制つくりを支援する。

③診察、面接等の必要が生じた場合には、当協会所属の認定精神科産業医が協力をする。

④賛助会員限定の職場メンタルヘルス研修会、懇親会を開催する。

・在野の産業医、産業保健専門職の方々と協力、連携して、本領域の問題解決に積極的に取り組んでいく。

・会員間においては、労働者、企業それぞれに有効な活動を提供するための知識とスキルの研修、研鑽に励む。